カワハギ竿制作
(動植物、風景写真は市川 英之氏による)
制 作 過 程 1

 1 切り組み  ( カワハギ竿を通して、切り組みから完成までを追っていく



      



 *穂先ークジラ穂  *穂持ちー布袋竹   *胴ー布袋竹  *握りー布袋竹



原竹に強い火力で下矯めをした上で切り組みが終わったところである。カワハギ竿の定型の長さは六尺(約180cm)ほどあるが、六尺三寸(約190cm)となる。長めのカワハギ竿も面白かろうとこの切り組みにした。握り部に少々陥没した所があるので、錆漆(砥の粉1、生漆0.5、水0.5)を埋め込んである(白いテープの所)。



(1) 布袋竹を選ぶ時、気を付けていること


①~ほぼ丸みを持っていること。そして肉厚であること。

②~俵節の低いもの。

③~節間が詰まっていて、ゆるやかなテーパー(勾配)が効いていること。節間が詰まっていても急峻なテーパーの素材はおおむね堅くて弾力性に欠けるように思われる。

④~ねじれの少ない竹を選ぶ。ねじれがある場合は下矯め、中矯めを何回か行って直す。

⑤~竹肌が象牙色をしたもの。

☆これらの条件は飽くまで理想である。全部の条件が揃った素材は希少竹として値段も高額
である。



(2) 穂持ち竹の選び方


①~節が4,5節あること。

②~クジラ穂先の元径よりも穂持ち竹の先径が細いこと。もし同じ太さのものを繋いだとしたらクジラ穂先は竹よりも硬さに欠けるので、魚をかけても穂先だけのやり取りになってしまう。



(3) 胴の竹の選び方

 
①~穂持ちの元径よりも1mm強太い素材を選ぶ。印籠繋ぎの込み芯が入りやすくなる。これで全体の調子が狂うことはまずないだろう。穂持ち竹より強い弾力性を持っているか確認する。


(4) クジラ穂先の調子の出し方 


           
 


①~クジラ穂先の適当な長さは40cmほどである。

②~イワシクジラの二枚合せ(時には三枚)を作る。この時点では直方体の棒状のものである小刀やヤスリ、ガラス片を使って丸みを作り、同時にテーパー(勾配)を付けていく。

③~削る進行が作業が進んでいく途中、写真のゲージ板の溝に入れて次の削りの方向性を探る。

④~ある程度調子が整って来たら、万力に固定して適合オモリ(25号)を下げてみる。曲がりの頂点を見定め先調子になってるか調べる。不十分な時は、ガラス片で薄く々削っていく。

⑤~生漆を塗ってクセの出方を見る。漆は強い収縮性を持つ塗料なので、柔らかい所は曲がってくる。

⑥~クセが直らない時は、ロウソクかアルコールランプの火を遠目から当て直していく 



2 継 ぎ
 
(1) 印籠継ぎ


             





①~丸節竹・矢竹の場合

丸節竹の印籠芯繋ぎはあまり見かけない。丸節・矢竹と同じ女竹で出来た庄内竿は例外で、二本繋ぎに印籠芯を用いている。この印籠芯はネジのような螺旋形の溝が掘り込んであり、竿を回しながらすげ口に入れていく。一般的には丸節等は並継ぎが行われる。

② 布袋竹の場合



二本継ぎ、三本継ぎにおいて多くは印籠芯を用いて繋いでいる。印籠継ぎとは布袋竹の為にあるようなものである。


,芯の選定はかなりの経験を要する。                                 

竿作りの初期は、すげ口作りのむずかしさから細い芯を選んでしまう傾向がある。細い芯では、穂先から穂持ちに伝わってくる荷重が繋ぎ部分で中断してしまい、胴の竹の方向へ力が伝わっていかない。最悪の場合は芯が折れる場合もある。またこれとは別に、真直ぐに見える芯であってもよく観察すると曲がっている芯が結構見られる。曲がっている所をヤスリ掛けをして直すことは避けた方が良い。せっかくの竹の命である繊維質を削り取ってしまうからである。                   

火を入れて矯めることは大変難しい。太さの違う芯を多く揃えて置くことをお勧めする。


選定が出来たら、先端部は節切りになっているので、節の凹凸を平坦にするために軽くヤスリ掛けをする。この節を強くヤスリ掛けをする人がいるが、お勧めできない。穂持ちの荷重をこの節の部で支えている所であり、頑丈さが必要である。


胴に入る込み芯の長さは、私の場合は10cm程度を目安にしている(印籠芯全体の長さではない)。その長さが決まったら、長さ分を胴にテープなど巻いて印を付けておく。すげ口の内径削りのためである


印籠芯は削れないので、継ぎの良し悪しはすげ口の内径削りの出来に関わってくる。内径削りの道具は剣先刃(手動)や柳葉刃、かき出し刃などが挙げられるが、いずれにしても竹の内部に与える衝撃は大きい。名人上手の人は、竹を仮巻き程度でやってのけるが、矢張りきちんと糸を巻き、漆による糸極めや糊漆を施してから削る方が無難だ。                             

糊漆
ー姫糊(上新粉の糊)0,5、砥の粉(砥石を切り出す時の土)1、生漆(瀬〆で可)0.5、水0.5



★ 刃物・ヤスリ

   



ヤスリ                           
丸棒ヤスリ(3本)                     
自作ヤスリ(2本)ー金剛砂使用            
棒に巻ける紙やすり


回転刃
上から
柳葉刃(8本)ー電動
自作桜葉刃(10本)ー電動・剣先刃から転用
かき出し刃(3本)ー手動


刃物で削った後は、ヤスリ掛けになる。印籠芯は元が太く、先は細いテーパー(勾配)が付いている。このことを計算に入れて内部をさらっていく。仕上げと思う時は、写真にあるように丸棒に巻ける紙ヤスリが市販(DIY)されているので、これを使い凹凸のないきれいな面にする。紙ヤスリ(#320~#600)



完成度を確かめるのに手の感触以外に、芯の照り具合でも分かる。照りが強ければまだヤスリ掛けが必要で、照りがかすかならば完成に近づいている。



芯が入りにくい時は、すげ口から下2,3cmの所を軽くさらっていくとすんなり入ることがある



完成したら穂先、穂持ち、胴、握りの全部を繋いで、大きくしならせてみる。ここで音がでないようであれば本当の完成である。反対にカタカタ音が出るようであれば、繋ぎ内部のどこかに隙間があることになる。すげ口の上で音が出ていれば下を、下から音が出ていれば上を削ってみる。手直ししても音がでるようであれば、芯を抜いてやや太めの芯に替えるしかない。



芯を外す時は両手が使えるようにアルコールランプを使う。せっかく巻いた糸であるが、これを除いて作業した方が良い。接着剤に木工ボンドを使っていればすぐ外れ、二種混合液を使っていれば火を当てる時間がやや多めにする。




(2) 並継ぎ


①~丸節竹の場合
丸節は正円に近い形状で、削り過ぎないように気を付ければ比較的楽な作業で完成度も高
い。込み下最終部はやや細く、込みの元径部は太くというよりほとんど削らない原竹のままに
しておく。すげ口辺に当たる個所を削り過ぎると、当然弱くなり魚をかけた時急激な圧力が加
わり折れてしまう。

②~布袋竹の場合


           

上ー込み 
下ーすげ口


込みの先端部には節が来るように竹を裁断する(節切り)。



布袋竹は丸節と違い、節間に平らな道がある。別の竹から切った竹辺と添えて丸みを持たせなくてはならない。ヤスリ掛けをして全体を正円に近い形にする。



正円に近い状態になったら、込み先径はやや細めに削り、元径は添えた竹辺を除いてほとんど削りを行わない(楔形)。すげ口も当然この形状に合わせて中を削る。



込みを入れ抜く時に、すげ口辺からすっと空気が出たり、ポッンと軽い音がするようであれば並継ぎが出来たと言える。

★ある人から、込みはなぜ平行線になるような削りではいけないのか質問を受けたことがある。もし平行線になる形状ですげ口内に挿入したら、ほぼ間違いなくどこか隙間が生じてカタカタと音がする。

★ 込み先径は細く、元径は太くの形状は楔(くさび)と同じで締め付けが強くなる。



3 火入れ(中矯め) 
(詳しくは「小わざ・小道具5」を参照してください)

              


~ 中矯めの為の火入れ。下部風口から小型扇風機で空気を送る

~ 矯め木

 
★~矯めには、山矯め、下矯め、中矯め、上げ矯めがあるのはご存知の通り。下矯め済みの竹を仕入れた時は、家で改めて下矯めをすることにしている。こうすることによって竹の形状、性質が分かり、これからの和竿作りのイメージができてくる。                             

矯めの中でも特に中矯めが竿の良し悪しを決める要(かなめ)と考えている。上矯めはかすかな矯めしかできないので、ここで竿を一直線になるように集中する。



(1) 道具

①~矯め木は市販のもの半分、自作のもの半分である。竹が通る穴の内径が同じでも、角度が急峻な矯め木と角度が緩やかな矯め木二種類があると便利である。人それぞれであろうが、急峻な矯め木はいわゆるシャクリ矯めに効果があり、緩やかな物は押し矯めに向いていると思われる。


②~1,2本の竹を矯めるときは租炭というかごく普通のオガ炭を使うが、数本あるいは矯めの時間が長くかかりそうな時は備長炭を使っている。火力が強い上に長持ちする。


③~中矯めと上げ矯めには写真にあるような、スリットが入ったドーム型の物を七輪にかぶせる。これは主にヘラブナ竿の矢竹を矯める時に使う道具であるが、布袋竹の中矯めにも向いている。炭の熱(赤外線)が内部で対流して四方八方から竹に熱を通していく。七輪と同じ珪藻土でできているが、さすが20年切り粉(「小わざ・小道具」編で詳述)で補修している。



(2) 矯める


①~下矯めの段階で節に穴を開けて、水蒸気の通り道を作ってあるが、もう一度確かめておく。


②~中矯めの段階では胴の漆塗りは行っていないから、糸巻き部を除けば強い火力で矯めができる。


③~中矯めではシャクリ矯めのような強い力は必要なく、押し矯めや回し矯めが主な作業となる。


④~竿の元から矯めて行く。一番手前の芽と右に見て矯め、次に竹を回して芽を左に見て矯める。この繰り返しで竿の先の方に順に進んでいく。それが終わってから、矢竹で行うような回し矯めを行うとさらによい結果が出る。


⑤~節には矯め木を絶対当てない。節下に矯め木を当て矯めたら、次に節上に矯め木を持っていく


⑥~糸巻き部近くに矯め木を当てなくてはならない時がある。下矯めで十分な矯めが行われていればこのような事はないのだから、恥ずかしい話である。糸巻き部に衣をかぶせるように耐熱パテを張り、パテを外してその近くに矯め木を持っていく。。


⑦~節間がねじれている竹の場合は、矯めが終わり竹が熱いうちに濡れた雑巾で冷やしてやるとねじれが直る。


⑧~握りから穂先まで一直線になっていればこの矯めは終了となる。

  


4 胴の拭き漆 


               



★~胴の漆塗りには、刷毛塗と拭き漆塗の二通りある。刷毛塗をした竿の表面は厚みと光沢があり一目でそれと分かる。拭き漆塗の場合は竿の表面は、漆が薄皮のように覆っている。この塗りは梨子地漆を使い、が呂色磨き(生正味漆を三回塗って光沢を出す)を行うので、味わいのある艶が出る。私は潤み塗をする時は刷毛を使うが、それ以外は拭き漆法でやっている。





*右手に持っているのは真綿
*定盤左側の白い紙は拭き取り専用紙(両手でもみほぐす)
*定盤に出してある漆は梨子地漆


表面の研磨材
*クレンザーの粉
*紙ヤスリ(#600)
*クジラのひげの研磨板
*炊事場のスポンジ 



(1) 竹の表面を研磨する

竹の表面はホウロウ質のようにコーティングされている。この表面に漆を塗ってもすぐ剥げ落ちてしまう。鏡の上に漆を塗っても剥げ落ちるのと同じである。そこで表面を研磨して、わずかな凹凸を作る。


①~極細の紙ヤスリで研磨する。ここで気を付けなければならないのは、表面全体を同じ力で研磨することである。どこかの個所で力が入り過ぎると、後で生漆を塗った時そこだけが黒ずんでしまう。


②~台所で使う食器洗いのスポンジやクレンザーの粉で研磨してもよい結果が出る。


③~私はクジラのひげで作ったヘラで研磨している。時間がかかるが、よい結果が出る。



(2) 拭き漆をする


①~研磨が終わったら生漆(瀬〆漆で可)を定盤(塗り台)に出し、用意した真綿に付けて円を描くように漆を配っていく(2,3節分ぐらい)。生漆を表面に吸い込ませ、次に塗る透明漆が吸い込まれないようにするためである。


②~乾かないうちに拭き取り専用紙(ウエス、ティシュペーパーで可)を用いて完全に拭き取ってしまう。漆は表面の凹の個所に入り込む。


③~ 初期のころは完全に拭き取ることが難しいので、事前に生漆に耳かきほどの弁柄粉を入れて拭き取る作業を行う。弁柄粉の赤っぽい生漆になるので、拭き取りが十分でない所は赤色が残るのですぐ分かる。


④~漆室に入れて乾かす。生漆が凹面に入っているので二昼夜ほど寝かせてから次の作業となる


⑤~この工程を3回繰り返す。漆室から取り出すと、これだけでも艶のある光沢が見られる。


⑥~胴摺り(どうずり)を行う。この上に透明漆(朱合漆、梨子地漆等)を塗るが、いままで塗った漆を研磨して凹凸を作ってから塗ることになる。簡単に言うとこれが胴摺りである。竹表面に薄く植物油を塗り、胴摺り粉やコンパウッドを指に付けて表面を均等に配っていく。                  

それができたらネル布やウエスを使って磨いていく。終わったら石鹸を付けて油を洗い流す。いままであった光沢は消え、表面に凹凸ができにぶい色になっているはずである。


⑦~胴摺りが終わったら、次に透明漆(梨子地漆や朱合漆など)をやはり真綿に付けて塗り、のちに拭き取る。



梨子地漆(無油)を塗った場合ー生正味漆(きじょうみうるし)を真綿に付けて表面に配り、のちに拭き取ることは上の段階と同じである(呂色磨き)。これを3回繰り返す。見事な艶が出ているはずである。(呂色磨きについては、「制作過程2」で詳述してあるので、そちらを参考に)



朱合漆(有油)を塗った場合ー朱合漆を真綿に付けて拭き取ることは今までと同じである。
朱合漆はこの作業で光沢が出る。呂色磨きは行わない。これで終了である。

☆今回のカワハギ竿は梨子地漆を塗って、のちに呂色磨き(ろいろみがき)をしてある。




5 巻き部の漆塗り


             


★下地作りが終わり、下塗り(生漆)を行っているところ。
愛用の漆刷毛とヒノキヘラ



(1)下地作り

①~糸を巻き終え漆極めをしてから2回生漆を塗る。その度に漆室で乾かす。次に炭研ぎをする(耐水ペーパー#800)。この段階では糸目が荒々しく見える。その糸目の上に糊漆(砥の粉1、姫糊0.5、生漆0.5、水0.5)を塗る。乾いたらこれを固めるために生漆を塗り、漆室に入れて乾かす。(姫糊ー上新粉の糊)


②~石のようにかなり固くなっている塗面を三和(するが)砥石か耐水ペーパー#800以上で平坦になるように研磨する。以上で下地作りは終了する。



(2)下塗り(刷毛塗り)


①~刷毛に付けた生漆(瀬〆漆で可)を塗面上に4,5個所配り、刷毛を元から先の方に螺旋形にさばいていく。次に刷毛を元から先へと、先から元へと運んでいく。これで塗面に均等に漆を塗ることができる。できたら漆室に入れて乾かす。


②~乾いた竿を室から取り出し炭研ぎ(耐水ペーパー#800~1000)をしてから①の過程を3,4回繰り返す。


③~下塗りの終了の目安は糸目が見えなくなった時である。



(3)中塗り(刷毛塗り)


中塗りは、上塗りを何漆を使うかで種類か決まってくる。


①~上塗りー黒色仕上げの場合。中塗りに黒漆・黒中漆を塗る。

②~上塗りー朱色など色漆仕上げの場合。中塗りは透中漆を塗る。

③~漆の配り方と刷毛の運びは、下塗りと同じである。中塗りはやや厚く塗ってもいい。

④~中塗りの終了の目安は、研ぎが終わった後の塗面が艶消しの状態になった時である。中塗りの途中過程で、塗面が海面に夕日が浴びたようにキラキラ輝くときがある。これを見て中塗りの終わりとする向きがあるが、これは塗面にまだ凹凸があり光が乱反射しているのである。まだ終わりではない。

★中塗りは仕上げ塗りではないので、安心感から漆室の管理を怠ってしまう時がある。温度28℃、湿度85%が室の適温適湿であるが、これを超えると塗面に「漆焼け」という現象が起きる。黒中漆を塗っても黒色にならずに茶色になってします。こうなったら完全に塗面を研いでやり直しである。
(漆焼けについては「小わざ・小道具5」にて詳しく記しています)


★それよりも厄介なのは「縮み」という現象である。中塗りで起きやすい現象で、塗面が漆の収縮で山のようにせり上がってくる状態を言う。中塗りは厚塗りすることが多いので、どこかの個所に漆が溜まったようなことがあるとこの事態となる。「縮み」が出たら、砥石を使って完全に払いのけてやり、初めから中塗りのやり直しとなる。



(4)上塗り(刷毛塗り、または呂色磨き)
 

刷毛塗りをして仕上げとする塗立法と、刷毛塗りのあと呂色磨き(ろいろみがき)をする方法
の二通りある.。


.①~塗立法ー黒の塗立漆、黒の艶消し漆、透明の朱合漆など。この方法は塗面に刷毛目が残ることが多く、それを防ぐために漆の固さの調整、刷毛の捌き方の工夫を必要としかなり技術を要する。


~呂色磨き法ー刷毛塗りののち、まず胴摺り(どうずり)を行う。胴摺りとは、塗面の炭研ぎが終わった後、炭足を消すために 塗面に植物油を付けそこに砥の粉をまぶして研磨することを言う。塗面が艶消しの状態になったところに、真綿で生正味漆を塗り付け、乾いたら指に角粉(つのこ)や磨き粉を付けて磨する。 これを三回繰り返す。もちろん一回ごとに室に入れて乾かす。


③~今回のカワハギ竿は黄土色と朱色のグラデーションにする予定である。中塗りには透中漆を塗り、刷毛塗りによってグラデーションができたところで呂色磨きを行い仕上げとする。

★今まで漆を濾し紙(吉野紙)で濾して不純物を取り去ることには触れてこなかった。生漆を使う時は濾してもしなくてもどちらでもよい。中塗りの段階から、漉し紙で不純物を除いていかなくてはならない。私は中塗りでは三枚の漉し紙を、上塗りでは五枚の漉し紙を使っている。朱漆の場合は、顔料の比重が重たいので濾す回数が増えてくる。



6 ガイド付け(この事については「小わざ・小道具4」にもあります)



     



【ガイド付けの私の基本】

①~継ぎを行い一本にした上でまずリールシートを固定する(仮巻きでも良い)。ここを起点として、穂先先端までガイドの位置を決定していく。


②~竿の継ぎを行ったらその近くには、最低1個のガイドを置く。


③~穂先と穂持ちの繋ぎ目には両足ガイドを跨(また)ぐように置く。


④~穂先のガイド付けの時は、事前に適合オモリを下げてその曲がりの頂点に印を付けガイドを置く。

⑤~トップガイド近くにガイドを付ける時は、トップガイドの内径よりも一つ(あるいは二つ)小さいガイドを3個付ける。(例えばトップガイドの内径が5mmとしたら、4.5mmか4mmのガイドを3個付ける)


⑥~全ガイドを仮付けして適合オモリを下げ、最終的にガイドの調整を行う。
⑦ガイドに糸を巻くときは両手の幅を腹の幅と同じにして、左手に竿を、右手に糸を持ち送り
出す。この姿勢を崩さなければきれいに糸が巻ける。




7 カワハギ竿の完成


       


*長さー191cm 仕舞長さー110cm 重さー180g
*オモリ負荷ー25号 先径ー2.8mm 元径ー11.5mm 


※「制作過程」長々読んでいただいてありがとうございました。まだ書き足りない事がありますが、割愛しました。竿作りに必要な三要素「切り組み、繋ぎ、火入れ」は入れました。

※ 当ページには多くの数値が出てきます。例えば「糊漆(砥の粉1、姫糊0.5、生漆0.5、水0.5)」のようにです。これは飽くまでおよその目安としてお考えください。




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