1手製のノギスつくり
 
竹の外径を計るのに、今までは市販のノギスのメモリを尺貫法に変えて使っていました。重くて使い勝手
が悪く、いつか小型のノギスを作ろうと思っていました。

 




材料は湿気による変化がほとんどない孟宗竹を使います。園芸店で購入できます。ナタやノコギリで表、裏を平らにしてから次の工程に入ります。
 




二つのパーツを切り出していきます。込み、すげ口両方に45度の切り込みを入れていきます。この段階で一分単位でメモリを打ち、三寸までメモリを入れます。竹の外径を計るので三寸まであればいいと思います。 


[完成ー表]




[完成ー裏]





2 結び目のない結び
 

結び目がないにも関わらずがっちりと器物に巻きつくやり方です。多くの人が知っていると思いますが、改めてここに紹介します、一度この結びを知っていると竿作りのみならず、たとえば椅子の足の補強や洗濯物を干す竿などの補修に役立ちます。

 
 

{やり方}

(1)最初に巻きつける糸を長めに伸ばして器物の前方に伸ばしておく。そのあと糸を糸目が乱れないようにまた隙間を作らないように5,6回巻きつける-①。巻が終わったら伸ばした糸を強めに引き全体の糸のかじりつきを強める。

(2)次に伸ばしておいた糸をハサミで切り取ってしまう。

(3)先端まできれいな糸目を作りながら巻いていき、先端2,3cmまで来たところで一旦巻くのをやめる

(4)あらかじめ用意しておいた糸(巻いている糸と同じが良い)7,8cmものを二つ折りにして輪を器物の外側に出しておくー②。

用意できたらまた先端まで5,6回巻き、糸の先を二つ折りの輪の中に通す。できたところで二つ折りの糸を引いて抜き去る―③.余った糸はハサミで切ってよいが切り残しが無いようにするためには、糸を斜め上にあげて下の巻きあげた糸との境目にカッターで切るときれいな仕上がりになる。
 





3 クジラ穂先の作り方~2枚合わせ

 ~初めに~

どんな小わざでも1,2回やってマスターできるものはありません。特にクジラの合わせ技は素材が扁平でなくねじれがあり、切った上の面も下の面も凹凸があります。このねじれをなくし、凹凸を平たんにして二枚を合わせ接合するには時間と忍耐が必要です。
今回は二枚合わせの工程のみを説明いたします。穂先のとしての調子の出し方は後日という事にします
できるだけ簡潔に述べようと思いますが、説明不足があったらお許しください。

 
{切る場所を決める}





(1)できるだけねじれのない素材を選ぶ。

(2)素材を見ると、元と先に穂先として使えない箇所があるのでまずそこを裁断する。

(3)①と②で描いたように素材には曲線の筋が入っている。この筋通りに切っていくと穂先の制作はほとんど困難である。

(4)厚い面、薄い面を二枚合わせにすると、穂先ができても調子の狂ったものになってしまう。A面、A’面のように隣同士を二枚切ればほぼ厚さは同じなので正しい調子の穂先ができる。

(5)見本は長さ38cm、幅1.5cm、厚さ0.7cm。初めて試みる方はやり易さを優先して幅を2cmぐらい取った方が無難である。

(6)素材は固くてねじれているので胴突きノコギリを使うと便利。

 

{二枚揃えてみる}



(1) 裁断後、仮にA面とA面を置いてみる。もちろん両面とも裏側が正対している。'
(2) 長さに不均等があったらどちらかを切って揃える。
(3) ねじれの少ない素材を選んでも、写真で見られるように先端部でねじれが目立つ。


{平坦にする・ねじれを補正する}


   

(1) ふたつの裏面を平たんにするために私は鉈(なた)を使うことが多い。鉈の重さも加わってかたい面の削りには便利である。
(2) また電動ヤスリを使ってそぎ落としていくのも一手である。


 {平坦に近づく}



削る過程で何回も両裏面を合わせ光を通してどこを削ったら良いか目標を定める。部分的に削っていくうちぴったりとした合わせができてくる。

 
{二枚を接着する}




合わせができたところで接着させる(二種混合液、木工ボンド)。クリップで固定するが、二枚にずれができないように右、左と交互に止めていくと良い。半日ほどで渇く。

 
{完成}


(上から)

(横から)


 ~終わりに~

他の仕事も同時進行で作業しているので4日かかってしまった。ここからは穂先として仕上げるために削りだしが始まる。それはまた次回でご紹介します。
自分で作り上げた穂先でカワハギを釣るのはスリルがあって楽しいものです。是非お試しください。

 


4 すげ口と込み作り









★道具類

最初のすげ口作りの為の刃物から、最後の肉をさらう道具までの紹介です。

(1) 私は自作の内径削り刃(小わざ・小道具Ⅰで紹介)と柳葉刃を場合によって使い分けています。口から下までどれだけの長さを削るか、その目印としてテープを事前に巻いておきます。

(2) それが終わった所で掻き出し刃を使います。これも同様にテープを目印とします。この道具を使うときに気を付けることは予定した深さより深く削りとってしまう場合がある事です。削る時は一気に事を進めるのではなく、内径360度を少しずつ慎重に削る事でしょう。

(3)節の所は強固になっているので、他の箇所より削る回数は増えていきます。

(4)掻き出し刃が通った後は、内径表面は凹凸がかなりあります。そこで丸棒ヤスリでならしていきます

(5)丸棒ヤスリで中の凹凸はかなり平均化されて来ますが、ここで更に平らにするために丸棒ヤスリの回りに紙やすりを付けて磨きます。



 
【すげ口と込みにかかる力】~並み継ぎ・印籠継ぎ

順序は逆になりますが、繋ぎが完成したとして、また魚を掛けたとしてどのような力が加わるのか考えて見たいと思います。(分かりやすく説明するために図は誇張して書いてあります)

① 竿が図のように曲がったとして、込み先端部はすげ口の上に接着するようになります。込みとすげ口に大きな力が加わります。これが意味することは、先端部に強度が必要と同時にすげ口は肉厚でなくてはならないということです。

② すげ口と込みの先端部と最終部が接触するか箇所にも下向きの大きな力が加わります。そこで考慮しなければならない事は、まずすげ口の入り口部はある程度肉厚にして置く事、また込みの最終部も肉厚にして置く事が大切と思います。また込みの長さも重要です。込みの長さが適正にあれば、竿が曲がった時にすげ口内に力が分散されますので、ここにかかる力が小さくなるからです。

{海釣り用の竿は一般的に布袋竹を使います。重り、魚の重量が掛かってきますので、すげ口の強度を保つために間に一節入れるのが普通です}

 


 


【実技】~並み継ぎ・印籠継ぎ
(図は誇張した寸法になっています。実際は0.1mm単位での違いです)
(すげ口には仮糸を巻いて補強しておきます)



{込みけずり}~込みは元を太く、先を細くします。元は後で漆を塗る時の準備の為に表面の甘皮を削ぐ程度です。先は上記のように竿が曲がった時に大きな力が掛かる部なので、できるだけ節が来るようにするか、内径に芯を入れ込むかして補強します。




{すげ口作り①}~まず込みの一番細い方(図では5mm)を基準にして削ります。道具は①柳葉刃か②掻き出し刃です。



{すげ口作り②
}~次に中間部、そして入口部へと移ります。道具は上記の二枚の刃を用いながら時々

③丸棒ヤスリで中の凹凸を浚っていきます。作業途中で事前に作って置いた込みを差し込み、内部にどの程度入るか調べていきます。ここで込みのある箇所に「照り」が出るようでしたら、そこが内部と強く接触する所なので、この箇所を部分的にヤスリを掛けていきます。すげ口の途中に節がある場合、削りもヤスリの浚いも他の部分より力と丁寧さが必要となります。

込みが程よく入れることができたら、内部の小さい凹凸を平らにするために④ヤスリを掛けます。終わったら再度込みを入れて、入り具合が悪い場合は荒目の紙ヤスリに変えて磨いていきます。

これで一応の終わりですが、以後込みに漆が何重にも塗られていきますので厚くなります。漆塗りが終わった段階で更にすげ口内部をヤスリ掛けをしていく仕事が残ります}

{注意点}


▲削り過ぎ~すげ口の入り口には、何度もヤスリが入って行くために内径の削り過ぎが起きてしまいます
これは避けようがないので、すげ口長さ寸法を5mmほど余分に長くして置き(例:予定寸法100mmとして、作業する寸法を105mm)、完成した段階で余分の5mmを裁断する方法があります。


▲削り残し~入口の下、2~3cmの箇所で削りが足りないことが時々あります(図「すげ口作り②の赤で塗ってある箇所」)。これはヤスリを内径に入れる時の角度が関係ありそうです。一応完成というところで込みを入れてみたが、口下の箇所が入りにくいーこのような時、口下2~3cmを軽くヤスリ掛けをすると往々にして込みがすっきり入ってくれることがあります。


 

5 糸極め手順



 (1)漆を浸透させる





①~元となるヒノキヘラを裁断しして、大小さまざまのヘラを用意するといろいろな場面で使えるので便利です。元になるヒノキヘラはそれほど高価なものではありません。プラスチック板から削りだすこともできますが、これを絹糸に押し付けると硬すぎて、糸が切れる恐れもあります。ヒノキを使うことをお勧めします。


②~まず漆(新漆で可)を糸表面に厚めに塗ります。そしてヘラを表面に当て、漆が糸内部まで浸透していくように強く押し当てます。こうすることにより、漆は糸の下の竹地肌まで浸み込んでいきます。漆は強力な接着性がありますので、乾いた時には糸は竹地肌に完璧なまで固定されるはずです。


 
(2)漆をふき取る




ヘラで押し当てた後、余分な漆が糸表面に出ているのが普通です。このまま乾かしてもいいのですが、早く乾かすために布地で表面の余分な漆はふき取ります。。


これで糸極めは終わりですが、漆液は糸内部、そして竹地肌にありますから、ずべてが乾くまで時間を要します。漆室に入れて、最低3~4日経ったところで取り出しした方が良いでしょう。



 6 ガイドの配列
 
~初めに~

ガイドの取り付けは簡単そうで実は難しいと思います。しかしある要点を逃さなければ、それほど苦労はいらないと思います。

見本は竿206cmのうち、リールシートから穂持ち先端まで146cm内のガイド配置です。穂先は含んで

いません(穂先ガイドについては「制作過程Ⅰ」において簡単に記しております)。

また今回は竿に両軸リールを使用する前提で説明しています。スピニングリールの場合はまた別の扱いになります。

 
(1)シート~穂持ち先端




★ 竿全体にテーパー(勾配)があるようにガイド内径にも勾配を掛けていきます。
   (富士工業製両足ガイド)①-12号 ②-10号 ③-8号 ④-7号 ⑤-6号 ⑥-5.5号


★ ガイドの間隔は先端にいくほど詰めて取り付けます。
  (今回の場合) リールシート~①(40cm) ①~②(29cm) ②~③(23cm) ③~④(14cm)
  ④~⑤(12cm) ⑤~⑥(10cm)


★ 私の場合、リールシートをまず付けてこれを基準点として①~⑥へとつないでいきます。逆に穂先に  トップガイドを先につけてこれを基準点とする方法もあります。


 (2)手元のガイド




★ 両軸リールから出た道糸は、なるべくリール近くでガイド上にかかるようにします。これが②以下の遠  い位置とするとガイド内径にかかる負荷が大きくなり、そのガイドひとつだけが摩耗が早くなります。
 
  しかし反対に近すぎると、そのガイドが摩耗が早くなり、またリールからでる道糸のすべりも遅くなりが  ちです。リールを取り付け、ガイドを仮止めして確かめるしか方法はありません。


 (3)手元から穂持ちまで




★ 竿をつないだ箇所(今回は印籠継ぎ)はどうしても強靭さに欠けてしまいます。そこで②と③のように    繋ぎ近くにガイドを配置し強靭さを補います。


★ 和竿が折れる箇所は節間よりも節近くが多いようです。節間は繊維束が規則正しく並んでいるのに   対して、節は繊維束に凹凸があることが原因と考えられます。つまり節間は弾性があり柔軟性があり  ますが、節は硬さはあっても弾性に欠けることと考えます。そこでできたらガイドを節近くにもってきた  いものです。


★ 穂持ちと穂先を接合した箇所も強靭さに欠けます。⑥のようにつないだ箇所にガイドを置くと強靭さを  補うことができます。

 
~終わりに~

今回のガイド配置がすべての竿に通用するわけではありません。二本の同じ寸法の竿があっても、しなり方、また節の数と位置などでこの配置は違ったものになります。

それだからこそ工夫の余地があり、和竿作りがおもしろいと言えます。




7 芽打ち(なみだ型)

芽打ちは各人各様の書き方があります。なみだ型を簡単に書く方法を紹介します。





       


①~始点に筆を寝かせるように置いたら、なみだ型の左側だけ書きます。


②~右側を書くときの始点は、少し後退して位置を取ります。始点①に重ねると先端が太くなり、良い形になりません。後は内部を塗るだけです。



       

         


面相筆で書けますが、できたら蒔絵用筆をそろえたいものです。少し高価ですが、他の所で線描きにも使えます。大事に保管すればかなりの期間使用できます。






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